no.01

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PROJECT

マリアル

伝統やことわざ、絵描き歌に豆知識のレコメンド。
コトバが唄に乗って動き出す、絵と唄による映像ユニット「マリアル」。

登場するキャラクターの一番愛らしい佇まいを描いて動かす、
イラストレーター アライマリヤによるアニメーション。
お母さんと子ども、両方の感性を持つ、
シンガーソングライターarcoによる、詩と音楽。

「良い感じです♪　僕イカです♪　こんにちは♪　僕イカです♪　(えかきうた イカ より)」

学校のチャイムが鳴るまでの業間の短い休み時間に、
既に座ったまま後ろを向いて友だちと戯れているかのような、
肩の力が抜けたささやかな幸せが、音と映像から溢れ出る。

きっかけは今から3年前、とあるマルシェのお手伝いで二人が出会ったことでした。

「ずっと絵本をつくってみたいと思っていたんです。その延長上にアニメーションがあって、アニメーションになると、イラストに時間軸が加わるのでそれもまた面白そう。それなら音楽があったらいいなーって」(アライマリヤ※以下M) そんな風に考えていたマリヤさんは、同じく店を手伝いに来たarco(アルコ)さんと出会います。ギターを奏でながら物怖じせず陽気に周囲と繋がっていくアルコさんと、「ゆるキャラがいたら目をそらす」「人混みには近づかない」という慎重派のマリヤさん。個性は違えど「何か一緒に作ろう」と意気投合した二人は、すぐさま作戦会議を開きました。こうして、「毎日新しい動画を1本公開する」という最初の一年目の目標を掲げ、2015年にマリアルの活動が始まりました。「とにかく見切り発車だった」という二人。アニメーション製作にはひとまずパソコンに付属していたビデオ編集アプリを使い、音楽のレコーディングはタブレット端末による宅録。
専門の機材を揃えずとも身軽にスタートすることができるのは、今の時代ならでは。
「それまで毎月作品を公開していたのですが、夏になったら、外のセミの声がうるさくて録音できないんです。でも普段のリアルな雰囲気が出てそれもいいかなと思って」(アルコ※以下A)
こうして、子ども向けに日本のことわざや名所、雑学知識などをテーマにした数々の作品が誕生。
丁寧な日々の観察に基づいて表現された、マリアルのアニメーション映像が知られていくにつれ、マルシェやPRイベントへの出演依頼が来るようになり、やがて「絵かきうた」のパフォーマンスも行うようになりました。

マリアル：イラストレーター アライマリヤとシンガーソングライター arcoによる映像ユニット。
2015年より活動を開始し、これまでにことわざ・えかきうた・日本のあれこれ・
オリジナルストーリーなど歌とアニメーションをwebで公開している。
映像制作に加えて、シェア工房 KILTA のイメージソング・映像を手がけるほか、
パフォーマンスやワークショップなども行っている。
http://www.arcobox.com/mariaru/

絵を見るのは好きだが、描くのは得意ではなかった。(アライマリヤ)


「実は、絵を見るのは好きだったんですが、描くのは得意ではなかったんです。学生の時は日本史の資料集を眺めるのが好きでした」(M) 仏像に光が当たるように演出された空間、社寺の屋根が描く美しいライン…。高校時代に社寺仏閣・仏像の美しい演出に魅せられたマリヤさんは、大学へ進学し日本美術史について学びました。教育学部だったこともあり、卒業後は大学のあった静岡県で、高校の美術専攻科の非常勤講師として勤務を始めます。「講師をしていた高校の美術専攻ではみんなデッサンが上手くて、自分にはとても教えられないと思いました。美術教師も大概どちらかに分かれますが、美術を通して教育を行うことと、美術そのものを教えることは違うんです」(M) あるとき、家具屋さんのギャラリーで一枚の絵ではなく仕掛け絵本。ページをめくるごとにいかにして場面を魅力的に見せるかを考えるしかけ絵本という世界は、宗教空間の演出方法とも繋がっているような気がします。
その後地元である栃木県に戻り、中学校の美術教員として勤務を始め、暮らしが安定してくるとともに、「絵本を作りたい」という気持ちが再燃してきます。安定した教職を2年で辞め通い始めたのは、原田治氏が創設したイラストレータースクール「パレットクラブ」の絵本コース。実は、雑誌やwebなど商業ベースのイラストレーターとして仕事を始めたのは、絵が苦手という気持ちが強かったから、その鍛錬のためだといいます。

ギターを買おう。ライブをやろう。(arco)


「何かをやりたい、という気持ちがずっとありました。でも、歌うことは好きだけど自分には出来ないと思っていました。ましてや作るだなんて」(A) 好奇心が旺盛なアルコさんは、学生時代にはライブハウスでイベント運営の手伝いをしたり、バンドでドラムを担当したりと、周囲との関わりの中で自然と音楽やファッションを身近に感じながら過ごしてきました。音楽性も特定のジャンルへのこだわりは持たず、明るく楽しくがモットー。幼少の頃に習い事などでの音楽経験は無かったものの、劇や歌に参加するのは大好きで、人前に出て表現をする楽しさを日常的に感じる機会が多かったといいます。今のスタイルでの音楽活動を始めたのは、8年ほど前結婚を機に東京から宇都宮へ転居する少し前のこと。
一人じゃ挫折してしまいそうだからと、ご主人と二人でギターを購入して練習を始めたことから始まりました。そんな中でご主人のアドバイスから曲作りもスタート。「ドキドキしながらipodに録音した鼻歌を夫に聞いてもらいました。そうしたら、『ちゃんと音楽活動をやるならサポートするよ』と言ってくれて」(A) こうして手始めにライブをやらせてもらえる場所を探すことにしました。当時CD音源を持っていなかったアルコさんは、下北沢にあるライブカフェのオーナーに録音スタジオを紹介してもらい、1stミニアルバムである「tsubomi no uta」を制作することになります。　そのスタジオは、シンガーソングライター笹倉 慎介氏 (Eテレ 06552355 で『小さな恋の物語』などの歌唱を担当)が営む埼玉県入間の元米軍住居地域跡地ジョンソンタウンにあるカフェ兼 レコーディングハウス「guzuri」。
予定していたギタリストのドタキャンという想定外のトラブルと初レコーディングの緊張感に直面しながらも、「今までとは明らかに違う音」に手応えを感じながら、泊まり込みでワイワイと作品を作ったそうです。現在までに4枚のミニアルバムを制作発表しています。